※おことわり このページは2002年2月の掲載当時のもので、現在の状況とは違う場合もあります。
ご了承ください。
今月のお店紹介「株式会社 ヤマト醤油味噌」は、金沢の海の玄関、醤油の町で知られる大野町で創業90年をこえる醤油味噌の醸造蔵元です。日本の食文化を支え、引き立てる調味料の伝統を大切にしながら、顧客の新しい変化にいち早く挑戦する老舗です。
今回は株式会社ヤマト醤油味噌専務取締役で、webショップ店長の山本晴一さんにお話をうかがいます。
食に関するものづくりで大切なこと、お客さまの声をはじめ、国内外で食にたずさわる人たちから得た刺激など、創意工夫のヒントと元気のでるお話でいっぱいです。
■創業明治44年。老舗にいきづく進取の気象
ヤマト醤油の社名は、初代・山本藤松(とうまつ)創業時の「山藤(やまとう)」に由来し、2代目は船で金沢から北海道へ醤油・味噌・雑貨などを、北海道から大豆・雑穀・材木などを運んで商いをする商社機能ももっていました。その伝統からか、代々変化の風を読み、老舗に革新をもたらしてきました。また当社では創業以来、素材を国内産に求めつづけるなど、変わらないことへのこだわりもあります。老舗の変わらない魅力と変わる魅力のなかで、webショップ店長の山本晴一さんが関わった一部をご紹介します。
■マーケティング発想からショールームづくり
ヤマト醤油味噌の敷地内、当社創業の地に築100年をこえる建物を活用した商品ショールーム「醤蔵(ひしほ蔵)」があります。山本さんが言葉では表現しきれないものづくりの精神や背景を説明するため、16年前、プランと改装をほとんど手づくりでオープンさせました。当社の理念を代弁するプレゼンテーション・ルームとして、消費者の生の声を聞くマーケティング情報室として大活躍です。あの行列ができる名物人気商品「しょうゆソフトクリーム」もここからうまれ、育っています。
このつくり手と使い手を身近にさせたマーケティング発想が、バーチャルショップ道場への参加、ネット通販の開始につながったのだそうです。
■~ヤマト醤油味噌ショールーム「ひしほ蔵」の様子・其の一~
「ひしほ蔵」の店内。YAMATOの暖簾が印象的。元祖!ヤマト醤油のしょうゆソフトクリーム。味噌樽や道具がディスプレイされた一角。
左:ショールームにかかる、白いのれんに注目。明治末~昭和初期に、YAMATOのローマ字ロゴなんて、初代・藤松さんは、なかなかのハイカラセンス!
中:「ひしほ蔵」名物”元祖しょうゆソフトクリーム”。しょうゆを使うと、なんとキャラメル風味に。大野町の異業種交流グループ 「からくり88」によって3ヶ月を要して開発された特産物です。
最近”ごまみそプリン”も新発売(Web通販でも!)。味噌や醤油の新しい魅力を探求しています。
右:店内に展示された味噌樽などの道具たち。ヤマト醤油の伝統と趣を醸し出している一角。
醤油や味噌のお味見セットがおかれた、休憩スペース。「ひしほ蔵」では、奥さまが元気におもてなし。
くつろぎのテーブルに腰かけると、湯気の上がるお出汁の試飲をすすめられたり。
各種醤油・味噌のお味見もできます。 お客様から、ご意見をいただくための工夫ですね。
■海外食品展示会への出展が刺激に
もうひとつの転機は、3年前のアメリカ・サンフランシスコで開催の国際的な食品展示会への出展でした。
食に関する世界的なトレンドや食の将来などの情報にふれることで多くの刺激を受け、ますますファイトがわいたそうです。特に食への安心や安全性について、わかりやすく、公正な第3者機関審査の必要性を痛感、いち早く取り組むことになります。
■食のものづくりの基本を守り、時代の変化に対応したい
「みそ醸造・醤油醸造は、1.5次産業」と山本晴一さんはその特徴を表現します。素材をつくる農業や漁業との協力関係なくしていいものづくりができないからです。
当社の品質方針「季節の味、旬の素材を引き立てる良質な調味料の製造・販売を通して、お客さまの健康で喜びに満ちた食生活の実現を支援する」が社内に掲示されています。アメリカでの刺激をもとに、国際的な品質保証基準のISO9002の認証取得や有機農産物加工食品製造業者の認定を受けています。
食を提案し、演出する側面は3次産業ともいえるのではないでしょうか。当社代表取締役の山本勝美さんは日本スローフード協会(NPO法人)の副理事長です。質の良い素材を提供する生産者と伝統的な食材や料理を守り、食をつうじて良い社会をつくるための世界的な運動です。食への問題点や可能性を追求する当社の方針があらわれています。食にたずさわることへの誇りと、原点を見据えた変革の積み重ねの一端にふれることができました。
■~ヤマト醤油味噌ショールーム「ひしほ蔵」の様子・其の二~
ふうわり大根が美しい「いしるみぞれ鍋」。この冬、お店ばたけ「鍋企画」にてヤマト醤油山本さんと、生活具の店器屋の前田さんがコラボレーションに挑戦。究極の「いしるみぞれ鍋」ができました!
ヤマト醤油のディスプレイに、器屋の「鬼おろし」。このことは2002年1月5日放送のテレビ「人生の楽園」でも紹介され、大反響を呼びました。
みぞれ鍋用の竹製「鬼おろし」の生産が、追いつかなくなるほどの大ブレイク。
Web通販・「ひしほ蔵」にて販売。
■インタビューを終えて・・・
多田年成アドバイザー。<レポーターから一言>
お客さまの食の満足を引き立てる調味料の奥深さ。まじめに、こつこつ、お客さまの視点で追いつづける、静かななかの躍動感。ものづくりへの情熱とプライドにふれることができました。
ご紹介するにはあまりにも多くのお話がありました。詳しくは醤油味噌と料理、ものづくり、食の基本と新たな動きなど、情報と読み物いっぱいの当店ホームページでご覧下さい。お薦めリンク集は本当におすすめです。
【アドバイザー 多田 年成】