★<週刊ウンチク>バックナンバー★ | |||||||||
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■「古色」とは、時を経たことによって生まれる、趣のある色合いのこと。
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「古色の耐久性」 …ハゲル・キエル・トレル・どうしましょう。 はげるのは頭だけではありません。物の色だっていつの間にか剥げたり色あせたりしているのです。 「モナ・リザ」の頬の色や唇の色が500年経った今、色褪せており、色褪せていなかったらその評価が変わったかも知れないのです。今、私達の身の回りにある大半の物質の色はやがて何らかの影響によって失われて行きます。 そんな中で1万3000年以上といわれる年月を経た今も、殆ど色あせることなく残っている色があります。これらは無機系の顔料によって着色されたものです。その中でも高貴な色である「赤」について調べてみました。 人類最古の壁画といわれているスペインのアルタミラ洞窟のヤギ・ウシ・シカの絵や、中国の周口店山頂洞、日本でも縄文早期の東釧路貝塚や飛鳥の古墳の壁画などに彩色されているほか、土器や埴輪に塗られています。神社・仏閣でもよく見受けられ、時代劇の廓の格子戸や壁にもよく使われています。九谷焼・輪島塗などでもおなじみのはずです。きっと旅先での屋根瓦でも見た事もあるはずです。 それは酸化第二鉄を主成分とする無機系の顔料、「ベンガラ」といいます。インドのベンガル地方で産出された事からその名の由来が始まったとされ、弁柄、紅殻などの当て字で書き表される事もあります。 わが住まいする鶴来町には伝統的な町並みが少なからず残っており、旧家におじゃますると、ベンガラの赤壁と赤茶の柱でしつらえた、粋な小部屋や座敷があったりします。ふるい〜と言う感覚でとらえていた頃もありましたが、時の経過に潜む、話のあれこれには結構楽しめるものが多く、ものごとを知るほどに「これは大切な価値である」と思うようになりました。 この顔料は耐光性、耐候性、耐熱性が高く、化学的にも極めて安定で、他の顔料と併用しても変色せず、酸、アルカリにも安定で、油とも反応せず、安価で毒性もないため、広範に使用されてきた便利な着色剤なのです。 それは日本の古い民家にみられる黒光りした重厚な柱や梁にも使われてきました。 松煙・油煙との調合によって黒・焦茶色・茶褐色・赤茶褐色・赤褐色・赤などの色のバリエーションが作られ、また漆や柿渋とも混合する使われ方もされてきたのです。防虫・防腐効果が高く、商家や農家の家屋には今もその名残があります。 今日では、安価な工業製品にとって替わられ、その生産量は激減しているようです。 現代では手間隙のかかる建築手法が効率という名のもと消去され、ベンガラの塗りも手間隙の典型的な作業ゆえにほぼ消失しました。しかし世の中が安定し、ふと気付くとシックハウス症候群など昔無かったような疾病が発生し、それらは現代建築のひずみがその原因にあることがわかりました。以来、解決策がいろいろと考えられています。 一方では伝統についての再考察がなされ、伝統的な建築様式を望む方向へも目が行くようになりましたが、まだまだコストから選択される事は少なく、ベンガラ塗りが復旧するのは生易しい事ではなさそうです。 その他にもベンガラは化粧品の着色剤やガラス・宝石の研磨剤、磁気テープやフロッピーディスクなど身近なところでも使われてきたようです。便利さ・安価さで評価されているのでしょうか。 我が社出口織ネームで作るジャカード織物にも、用途によって使う事があります。 1000年という時間の単位を超えられるものをご希望されるお客様がいらっしゃいました。 「歴史的な教義書」を作られるに当たり、その表紙をジャカード織物でと依頼されているのです。 染料の中にも優れたものはありますが、科学的に評価されていても時空を超えて実証されたものはまだありませんから、骨格になる色糸を実証されている無機系顔料で構成して、試作しています。 いやはや、機屋にそこまで要望され、期待してくださるお客様がいらっしゃるのです。 機屋も"織り"だけの専門馬鹿では居られないようですね。気休めにベンガラで「いらっしゃいませ」という文字を織り込んで、のれんにしておきますか。あと1000年会社があれば「どうだ」と言えるのですが、1000年命がある訳じゃあるまいし、それこそ専門馬鹿といわれそう? |
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