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週刊ウンチク おはなしばたけ 第75回(2002.8.1)
「上質なネクタイの見分け方」
提供:出口織ネーム 出口勉さん
 
上質なネクタイの見分け方

夜の街、とあるお店に入ると、お店のママさんが、「上着お預かりしますね」と、さっと脱がしてくれるのは親切ばかりからではないのです。すばやく裏のネームを見る。お客が金持ちかどうかを手っ取り早く確認しているのです。付いてる織ネームのブランド名は最も手軽で確実なお客の判別方法なのです。その夜、きわめて愛想がよかったのは身なりのせいかもね? 

ネクタイの裏のループ、これも織ネームと言います。
これがネクタイ裏の織ネームです。
 対面販売で売上成績の抜きん出た販売員は、身なり・しぐさ・会話等々あらゆる角度からお客を観察するものですが、なかでも上客の判別にはスーツ、ネクタイ、時計、靴がポイントであると言っています。

かの国からの商品が大量に輸入されるようになってから、デフレスパイラルが激しく、ついには、今まででは考えられなかったような価格の商品があらゆる分野に登場するようになりました。ネクタイもまた例外ではなく、百円ショップでの登場です。一体ものの価値はどうなってしまったのでしょうか。
 
 ブランド商品でさえ、かの国で生産されるようになってきたのです。原産地の表示だけでは、かの国の商品が粗悪であると断言する事も出来にくくなってきたのです。ぱっと見ただけではどこが、どう違うのか、区別が付きにくいのも事実です。そこで、ものの価値を知るためにも、是非、お知りおき頂きたい「話」を一つ二つ、お届けします。

 締めやすく、弛みにくいのが良いネクタイであるかどうかの判断の基準ですが、その要因に、素材と作り方があります。ネクタイの生地には絹100%、ポリエステル100%、絹/麻、ポリエステル/絹、ウール/絹等あります。現在のところ正絹のものが最上位とされています。しかも、プリントよりジャカード織がグレードは上位です。

 作り方から見てみますと、上質なネクタイには次のような部品があります。
表生地は、大きい三角の方を大剣(幅9〜9.5cm)、小さい三角の方を小剣(幅3.5〜4cm)、大剣と小剣を結ぶのを中継ぎと称します。大剣と小剣には表地と裏地と芯地、中継ぎは表地と芯地があり、それぞれ縫い合わされ、結び終わった後に小剣を通すループ、ブランド名を入れたネーム(ループとネームを兼用したものもあります。ちなみにADONISというブランドにご注目ください。手の込んだ良いつくりがなされています。)とで作られています。



 さあ、ここまで見かけが一緒でも、その内容に作りの違いがあるのです。まず、表生地ですが、生地の密度のしっかり入った物がいいのです。芯地の厚みも関係あるので、ただ厚ければ良いものでもありません。特にシルクは大剣の部分を2〜3度よく握り、シワの戻り具合をみるとわかり易いのです。上質なものはシワの戻りが早く、ふっくらぽったりしています。そして、大剣の裏にある裏地は表地と同じものを使っていれば、まず高級なものが多いのです。しかも、その裏地が複雑な折り曲げ方をしてあれば、「セブン・フォールド・タイ」といわれる伝統的な製法か、それに近い手の込んだ作り方なのです。次に、大剣裏側にある菱形部分の頂点に縫い合わせ(バー・タックといいます)がありますが、この大剣裏を左右に広げた時、芯地が奥のほうに見えてしまうネクタイは、作りが雑であることが間違いありません。
 そして、大剣裏の先端部分を内側に折り曲げてみる。ピッタリと三角形になるものが良いのです。ネクタイはバイアスという裁断の仕方をします。対角線に沿って斜めに生地を裁つ事をさします。正バイアスで裁断すれば、大剣部分も三角形になるというわけです。
 バイアスは生地に伸縮性ができ、生地が垂直に下にたれる。結びやすい。解けにくいという利点があります。1926年にアメリカのジェシー・ラングスドルフという人が考案したそうです。もう一つ。小剣の先端を指でつまんで左右に振ってみます。ネクタイはさまざまな形によじれます。この時のよじれの少ないもの、すぐに復元しようとするものが上質なネクタイなのです。

 ブランド名にこだわらず、商品を見る眼を養いましょう。お宅にあるネクタイがあなたの眼力をお待ちしていますよ。ぜひぜひお試しください。


参考 Tie'sFactory ネクタイの結び方

 
 
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