
石川に数ある老舗の中でも、創業以来176年間、歴史と伝統ある暖簾を連綿と受け継ぎ、金沢土産として知る人ぞ知る「じろ飴」を製造販売しているのが、あめの俵屋である。白地の帆布に平仮名であめと書いたシンプルな暖簾が、金沢を訪れる観光客を引き寄せて止まない。その老舗の商いの秘訣を俵秀昭社長に伺った。
「商売を手伝い始めた20代の時も今も、たった布一枚に過ぎない暖簾ですが、その重みたるや、ずっしりと肩にのしかかっています。6代目としてこの重みから解放されたことは一日たりともありません」と俵社長はしみじみと語る。老舗として代々受け継がれてきた商いだけに、守成に対する使命感は並々ならぬものがある。
「先代からバトンを受けた瞬間から、私の頭の中にあるのは守ることと次代につなげること。商売を大きくすることよりも守っていくことだけを念頭に置いて頑張ってきました。商売は牛の涎のようなもので、細く長く伝えていければと思っています」と暖簾を守る心意気を披瀝。
俵屋の飴づくりは、170年以上前の江戸時代と使用する道具類こそ変化しているものの、製法はほとんど変わっていない。
前日に洗っておいた米を蒸し、蒸した米に粉砕した大麦を混ぜ、お湯と一緒に仕込むという至ってシンプルな作業である。
しかしながら、何事もそうであるように簡単にみえるものほど奥が深く、ごまかしが効かない。実はとても難しいのである。そのため、原料である米、大麦を厳選することは言うに及ばず、その時の気候に合わせた温度、湿度、麦芽の混入量といった秘伝の製法を忠実に受け継ぎ、今でも大部分の工程は手作業で行われている。
このご時世だけに機械化できないわけではないが、「飴を煮立てる際の櫂(かい)回しの手加減や、外気温に合わせて練り具合を決める最終の練り工程には職人的な経験と勘が不可欠で、こればかりは機械では無理なんです」と、手づくりの重要性を説く。
人の口に入る食品を扱っているだけに、使用する道具類や作業する人の衛生管理には十分に配慮している。
原料の米は、地元石川産米が量的に確保できないことから、大部分は県外から仕入れた国内産の米を使用している。大麦についてはビールメーカーがカナダから輸入しているものを分けてもらっているだけに、安全性についてはメーカーのお墨付きを得ている。水は、かつては地下水を使用していたが、今は水道水を使用している。飴づくりは、お湯で仕込み、煮沸して煮立てることから、味への影響は全くないとのこと。
昔からの看板商品は「じろ飴」と「おこし飴」であるが、それだけではなかなか多様化する顧客のニーズに応えられないことから、さまざまな新商品を展開している。
俵屋の店舗は、本店、長町店、金沢百番街店の金沢市内3店舗のみで、首都圏の百貨店などには出店していない。
「一人一人の嗜好や感性が異なるように、マニュアル通りにいかないのが接客だと思います。![]() |
商 号 | (株)俵屋 |
| 所在地 | 金沢市小橋2−4 | |
| 創 業 | 天保元年 | |
| 資本金 | 1,800万円 | |
| 従業員数 | 20名 | |
| 支 店 | 長町店、金沢百番街店 | |