商い益々繁盛店高岡製箔(株)

日本で製造される金箔の99%(銀箔・洋箔は100%)が金沢で生産されていることは、地元の方ならご存知のことであろう。
その金箔業界において、日光東照宮、西本願寺、など多くの国の重要文化財に、高品質の金箔を提供してきているのが、今回ご紹介する高岡製箔(株)である。同社の高岡昇社長に、金箔に託す熱き思いを語っていただいた。

●製造卸から観光事業へ進出

黄金の茶室金箔の製造卸からスタートした同社だが、平成2年に本店を新築する際に転機を迎える。「当時は金箔業界の曲がり角でもあり、需要が少し下降線を辿り始めていました。ちょうどその頃『千利休生誕400年』という話題がテレビなどで報じられ、それを見た時に、黄金の茶室を造れば話題性があるのではないかと閃いたのです。
それはお客様に見てもらうこともさることながら、職人が材料として製作した金箔がどのように使われているか、職人たちにも見せたかった。
それが彼らの生き甲斐や後継者育成の糧にもなると考えたから・・」と振り返る。もちろんその時点では観光事業に活用することはほとんど頭になかったようだ。
ところが店は年々進化していくもので、最初は1日に数人しか来店客がなかったのが、テレビや新聞などで黄金の茶室が紹介されると、タクシーが観光客を連れてくるようになり、やがて東インターを降りて兼六園に向かう観光バスが立ち寄るようになった。「お客様に店を育てていただき、当社もそれに対応すべく進化し続けてきました」と語るように、それまで金箔の素材を売ることしか眼中になかった同社が、そうした経緯で観光事業に目覚め始めたのである。「それに伴って自ら金箔の商品開発をしたくなってきた」とも述懐する。

●東茶屋街で長年の思いを形に

銀の波箔座観光客が金沢と聞いてイメージするのは「伝統文化」である。なおかつ芸妓の伝統芸能の世界もあるのは茶屋街だけ。
その中でも金沢の観光スポットとして人気が高いのは東茶屋街である。そこに茶屋文化と金箔文化を融合させたコラボレーションを発信するショップを展開したいとの思いが年々強まっていた。
そんな時、縁あって東茶屋街の入口に全国初のあぶらとり紙の小売り専門ショップをオープンすることができた。銀箔は金沢がシェア100%であったが、機械化が進み蒸着箔に取って代わられたことで、銀箔の職人が激減し、事実上消滅しかけていた。
そこで数少ない銀箔職人の手技と銀にまつわる商品開発を現代の生活空間に発信するショップとして、茶屋街の裏通りにあった自社物件を改築し「銀の波箔座」としてオープンする。

●純金プラチナ箔の開発に成功!

箔座ひかり蔵今まで約400年の歴史の中で、同社が初めて開発に成功した合金箔がある。
従来までの金箔は、金が94.438%、銀が4.901%、銅が0.661%という配合が一般的である。ただ、この合金では屋外のモニュメントなどには銀と銅が入っていることから使いづらい面があった。
「ある時、某大学の先生から金とプラチナの合金開発にチャレンジすることを後押しされ、試行錯誤を繰り返しながら取り組んだ結果、純金プラチナ箔の製造に業界で初めて成功したのです。成功すると何かに使いたいと思うのが人情で、たまたまこの店には屋外に蔵があったので、これに純金99%、プラチナ1%の合金箔を外壁に、内部には24金の箔を張りつめた黄金の蔵を造り、それを一般の人や建築関係の人にも見てもらうべく、平成16年4月「箔座ひかり藏」をオープンしました」と力がこもる。
ここでは、純金プラチナ箔をアクセサリー、バッグ、什器など日常的なものに施したドットシリーズの商品を展開し、金箔のさまざまな商品開発、用途開発、観光も含めた一つのゾーンを形成している。そう考えると、本店は黄金の茶室を見せて金箔の世界に入ってもらう拠点であり、「箔座ひかり藏」は顧客の要望に応じて、金箔の新しい素材を開発し、その発信拠点としての機能を持ったショップとして見事に差別化されている。

●商品開発のポイント

何が売れるか?その時々の社長の閃きや思いを形にするのが同社企画室のスタッフであり、社長とスタッフのコラボレーションから新商品が誕生している。「我が社の開発・製造した我が社のオリジナルなものを、我が社の店舗で販売することが私のポリシーです。当然のことながら作ってはみたものの全く売れずに没になる商品もあります。
その年のブームは何で、何が求められるのか、いろんな環境条件があると思いますが、常に情報収集を怠らないよう努めています」。そう語る高岡社長の言葉の端々に、国の重要文化財などに最高品質の金箔を納めているメーカーとしての自負が感じられる。

●箔座e−ショップ

あぶらとり紙商品時代のニーズに即応すべくe−ショップを開設したところ、現在ではリピーター注文の7割はインターネットが占めるようになっているという。
そうしたことから今年度の重要課題としてホームページの充実を掲げ、新店舗を1つ立ち上げるぐらいの力を注ぐ考えだ。
そのためには、あぶらとり紙単品だけでは弱いため、化粧品類のバリエーションの充実、それに関連した小物類の商品開発と課題はあるものの、あぶらとり紙からスタートした通販も、今は化粧品が仲間入りしている。
今後は箔工芸品にまでその幅を広げ、新しい事業の柱に育てたいと目論んでいる。

●金箔の商いを通して・・・

「金沢を箔の街にしたい」これが高岡社長の大きな夢である。
「例えば、奇抜かもしれませんが、屋根瓦を金箔にし、金沢駅から武蔵にかけての通り沿いに金箔のモニュメントを並べる。
それは従来の金箔ではできなかったが、当社が開発した純金プラチナ箔なら可能です」と胸を張る。それを独り占めせずに石川県箔商工業協同組合のメンバーにも販売する。
海外とりわけ中国の金箔に対抗するためには特許取得が不可欠なことから現在特許を申請中。「当面は、神社仏閣で純金プラチナ箔を使用してもらい、その耐久性が口コミで広がっていけば、さまざまな建築関連物に展開できます。それによって金沢が豊かになれば、箔の街・金沢として後継者も含め、いろんな意味で好循環が生まれ、明るく元気な街につながります。
金箔の生産は99%金沢なだけに箔の街・金沢の実現に向けて業界を挙げて邁進できる環境づくりに努めたい」と熱く語る。

●今後の事業展開

高岡昇社長金沢市内に関しては思い描いた店づくりが実現できたようだ。何と言っても金沢ブランドを世界に展開していくことが大きな夢。
今は次女が常務として「箔座ひかり藏」店長と経営企画室長を兼務し社長をサポートしている。
「若いうちはいろんなことに挑戦させていますが、失敗の連続ですよ。とにかく私の代のスタッフによく教えてもらい、ゆくゆくは自分の道を切り開いていってほしいと願っています。
金箔の世界も大口需要が激減しているだけに、さまざまなものに展開できるよう用途開発・商品開発が重要です。
さらに、あぶらとり紙のフランチャイズ展開や観光要素の強い店舗の多店舗化、卸先の大手の新規開拓といったこともこれからの課題です・・」と取材を結ぶ。
屋外で金箔の良さを再認識してもらうこと、金箔の殺菌効果、活性酸素除去効果を応用した医薬品、食料品、化粧品は今後の研究開発次第では大きく化ける可能性が期待されるだけに、業界を挙げて箔の街・金沢の実現に向けて邁進していただきたい。
箔座本店 商 号 高岡製箔(株)
所在地 金沢市森山1−30−4
代表者 代表取締役社長 高岡 昇
設 立 昭和28年10月
資本金 4,700万円
取扱品目 各種箔ならびに関連商品の製造・販売
店 舗

箔座本店、箔座ひかり藏、あぶらとり箔座、銀の波箔座、 箔座稽古処、佛華堂(金沢仏壇製造・販売)


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