
大正12年、冷蔵庫業、凍豆腐の製造で創業した同社は、現在では乾燥品のこうや豆腐だけでなく、豆乳・豆腐や油揚げを素材とした、がんも・いなり・サンド・ハンバーグ・コロッケなどのさまざまな冷凍食品を手がける食品メーカーに変貌しつつある。大豆の持つ良さを生かした同社の製品にかける思いを藤原英二社長に伺った。
大正12年に越桐弥太郎氏が冷凍業及び一夜凍豆腐の製造を始めたのが同社の創業である。NTTデータでソフトウエア開発を担当していた藤原氏が、義父の会社とはいえ、全く畑違いの食品会社のトップに就任して5年目を迎える。「正直言って、戸惑いはあったものの、日々の生活に身近で、身体に良い食品製造の仕事に携わることへのやり甲斐の方が大きかった。
まずは現状を把握することからはじめ、私に求められていること、私がこれまでの経験で得たものをどう生かせるか、それがスタートだった」と就任当時を振り返る。
市販のこうや豆腐中心の商いだった時代から、徐々に大豆を素材とした関連製品であるがんも、油揚げと生産品目の幅を広げ、今では冷凍食品としての惣菜系食品が5割、冷凍油揚げ3割、冷凍がんも2割、乾燥品の凍豆腐1割という生産比率に様変わりし、商品アイテム数は約300種類にのぼる。
同社では、平成12年に食品の衛生管理の徹底を図るためHACCP推進委員会を社内に設置。
同社は、北海道(札幌)、東京、大阪に営業拠点を設け、北海道から九州まで、全国に幅広く冷凍食品を販売している。
時代の流れが固い商品より柔らかい商品に向かっている中で、従来の豆腐から作るがんもは歯ごたえがあるのに対して、豆乳から作ったがんもはソフトな食べ心地で、味もおいしいことから最近売上を伸ばしている。
既に同社が手がけている医療食関連分野は、シルバー世代が増えていく時代にあって、大豆を中心とした和食は、健康な人はもちろんのこと、病院や介護施設において今後さらに需要が伸びていくことが考えられる。これまで長年にわたって金沢で生産した食品の数々を全国に販売してきた同社だが、特に金沢にこだわった営業はやってこなかったようだ。パッケージにもそうしたアピールは全くしていないのが現状。
その点について伺うと、「ナショナルブランドで安く大量に作る商品との差別化を明確にする上でも、地域の個性をアピールしていく上でも、これからは金沢を前面に出した取り組みが不可欠だと考えています。何よりも水質の良い白山水系の伏流水をくみ上げて製造過程で使用していることから、そうした商品のこだわりも積極的に売っていくことがこれからの重要なキーワードになると感じています。」と今後の課題として認識を新たにする。
「自分が考えたことをやってみることが出来るというおもしろみがある反面、思っていてもなかなかそこに到達できない難しさ、自らの力不足を感じる時は、経営者の大変さを実感しています。
とはいえ、我々が製造した食品を美味しいと満足して食べていただけることが何よりの喜びであり、諦めず逃げずに挑戦し、高い目標に向かって邁進していくことで、峠を越えたところで目の前がパッと広がる瞬間があると思っています」と自らに言い聞かせるように語る藤原社長は、自分が行うべきことと、部下に任せる部分を明確にし、可能な限り任せる方向へシフトしていく考えだ。
「まだ100周年までには20年近くありますが、基本的には大豆食品の持つ良さにこだわり、それ以上広げることはありません。
事業規模の拡大よりも当社のお客様に喜んでいただける商品を提供し続け、商品の価値を分かっていただくことで、結果として当社の利益も増え、社員の働く環境も様変わりさせることができるかと思っています。
HACCPやISOの認証を取得し、名実共に安全・安心な食品メーカーとしての地位を確立させるとともに、世界に認められるブランドとなる礎を築きたい。」とトップとしての舵取りにかける情熱がひしひしと伝わってくる。
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商 号 | 羽二重豆腐(株) |
| 本 社 | 金沢市西金沢2−162 | |
| 創 業 | 大正12年 | |
| 設 立 | 昭和28年 | |
| 資本金 | 4,000万円 | |
| 従業員 | 101名 | |
| 年 商 | 約28億円(16年) |