商い益々繁盛店
開店してまだ4年と日は浅いものの、金沢市内で女性に人気の中華レストランとして評判の店、それが高尾台に店舗を構える中華ダイニング煌である。飲食店の激戦区でもある金沢工業大学界隈にあって、顧客との様々なコミュニケーションを模索し、着実に煌のファン層を増やしている商いの秘訣をシニアソムリエでもある南健一支配人に伺った。
●原点に立ち返りリニューアル
昨年、月刊誌『日経レストラン』に同店が取り上げられた。「その編集担当者が来店した際、『有松からタクシーに乗ってこの店までの5分以内の間に、飲食関係の店がたくさんありましたよ。いったいこの地域はどういうところですか』と驚かれていました」と南氏が話すように、飲食店が乱立する激戦区にあって顧客のファーストチョイスを得るためには、まず価格、そして味、雰囲気が鍵を握る。金沢工業大学が近くにあることから学生をターゲットにしている店が多いことが価格低下圧力として作用している。そんなことからオープン当初は、安くて美味しい小皿料理を提供し、お酒を楽しんでもらう中華風居酒屋がコンセプトであった。一昨年11月、南氏は支配人就任を機に、店のコンセプトを今一度見直し、メニューの一新、内外装のリニューアルならびにソフト面の充実と、先頭に立って取り組んできた。
●すべてに煌のこだわりを

「煌」という字には、きらめき・輝きという意味がある。リニューアルに際しては、お客様にそういった時間や空間を提供できる店としてのコンセプトを柱に掲げた。「食事=お腹を満たすだけでなく心を満たす店、美味しいのはもちろん、楽しい、嬉しいがある店。もう一つは、中国料理の観点から医食同源と言われるように、食べることは薬を飲むことと同様に体に良いこと。それに関して我々のできることは何か。まず全てを手作りで。当たり前のことかもしれませんが、最近は出来合いのインスタント・冷凍食品が氾濫し、コックレス時代とまで言われています。そういうものは一切使わずに、本当の美味しさを伝えることがあるべき姿と考え、全て手作りで提供しています。それによってお客様にからだも心も健康になっていただきたいと考えています。さらに、旬を大切にしたいと考え、地物にこだわった料理を心掛けています。例えば今なら秋のコースに地元産の五郎島のさつまいもを使っています」といった具合に、季節の旬を取り入れるため年4回メニューを見直し、ランチは月替わりで提供している。煌のこだわりはそれだけではない。水にもこだわっている。水道水には塩素やトリハロメタンをはじめとした有害物質が含まれていることから、それらを除去しアルカリ化した「プリウス水」を使用。さらにレストランでは大量の油を使って料理するので、大量の汚れ物が出る。そのため、100%天然の植物油から生まれた無添加洗剤を使用し、環境を大切にすることにも意を注いでいる。
●新メニュー開発に全スタッフが関わる

お薦めランチはチャイニーズバーガーセット。いわゆる中華風ハンバーガー(1000円)だが、女性をターゲットにスローフードの精神を取り入れた体に優しいメニューを提供している。実は、このランチを開発するにあたって、同店のスタッフ全員でアイデアを出し合うコンペを導入した。店側の考えでは、原価率や効率を優先し、最も重要な顧客本位の姿勢がないがしろになりがち。主婦もいれば学生もいて、それぞれが求めているものは顧客のニーズに近いからだ。それらのアイデアの中から女性スタッフの提案したバーガーセットが採用された。提案した本人もお客様が食べて喜んでいただく姿を見ることで、働くことの喜びを感じることができる。まさに一石二鳥、スタッフのモチベーション向上にも役立っている。
●お客様の声に耳を傾けるためアンケートを導入
「我々にやれることから一つずつ改善していきたいと考え、その参考としてお客様からアンケートをいただき、その貴重なご意見を我々の仕事にフィードバックしています。」このアンケートについても店側が聞きたいことと、働いているスタッフが聞きたいことが異なるため、スタッフの聞きたいことも質問項目に入れてあるという。「アンケート結果を回覧することで、スタッフの励みや反省にもつながっています」とアンケート効果を披瀝(ひれき)する。
●ふぁん(煌)カレッジでファンを掴む
飲酒運転の厳罰化により、アルコールが以前のように売れなくなったことは、飲食店にとって頭の痛い問題である。売上が減少した分をカバーすべく、南支配人は中国茶を販売することを目論んだ。とはいえ、日本人は、『お茶は無料』という認識が強く、お茶を売るといっても簡単にはいかない。そこで考えたのが、中国茶の魅力を知ってもらうための教室を開き、飲み方や味、効能を知ってもらうことから始めることだった。ふぁんカレッジと命名し、半信半疑でスタートしたが、三ヶ月目からはあっと言う間に定員に達する人気となり、多い月には100名を超すことも。1回10人の教室を各2時間、毎月約10日間行い、料理やお茶のこだわりを話し、新メニューの試食を行って意見を聞くなど、ふぁんカレッジを開催したことで、結果としてお茶の売上も伸び、来店客増にもつながってきている。「正直なところお茶教室がこんなに好評をいただくとは思ってもいませんでした。しかも、お茶教室に参加されたお客様からワイン教室も開いてほしいとの要望があって、ワイン教室を開催するようになり、それに続いてシェリー教室もと、お客様の輪が大きく広がってきています」と顔をほころばす。
●pour Mariage 茶龍的煌

今夏の改装で1階に茶龍的煌(サロン・ド・ファン)が誕生した。ゆったりとした空間で、中国茶やワインを味わいながら食事を楽しめるスペースである。
このスペースはフランス語で「マリアージュのための」という言葉が付けられている。マリアージュは一般的には結婚という意味だが、とても相性のいい飲み物と料理が出会うこともマリアージュといい、料理と中国茶、ワイン、シェリーなどの組み合わせを楽しんでもらうことがこの空間のテーマだ。プールマリアージュ効果で飲み物も料理も美味しさが倍増すること請け合いの絶妙の雰囲気が醸し出されている。
●顧客満足が最重要課題

長引くデフレ経済下で、低価格競争の世の中になっているが、そうすることで一時的に来店客数は増えるかも知れないが、作業が煩雑になり、お客様の待ち時間が長くなることで顧客満足度は低下し、売上が上がらず利益率も低くなるという悪循環に陥る。煌の商いは、客席数をあえて減らすことでゆったりとした空間を演出し、単価を上げて良いものを提供することで、限られたお客様に付加価値を感じて満足してもらい、利益率も確保できる堅実な商いを実践している。「この店を充実させることが当面の課題です。煌ならではのおもてなしでお客様に喜んでいただきたい」と率先垂範する南氏である。
■インタビューを終えて
顧客第一主義。サービス業においては言い古された言葉であるが、これを実践できている数少ない店が煌である。顧客の意見に耳を傾け、スタッフの意見に耳を傾け、顧客満足度の向上に日々邁進する煌のさらなる進化が楽しみである。
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商 号 |
中華ダイニング煌 |
| 所在地 |
金沢市高尾台3−23 |
| 創 業 |
平成14年 |
| 従業員数 |
社員4名、アルバイト20名 |