
金沢は全国でも屈指の回転寿司の激戦区である。数ある回転寿司店のなかでもとりわけ独創的な商いでファン客を増やし、金沢だけでなく東京・名古屋にも店を構えるまでに成長しているのが「金沢まいもん寿司」を幅広く展開している(株)エムアンドケイである。
後発組でありながら生き馬の目を抜く激戦を勝ち抜いて今日の地位を築いた木下孝治社長の商魂に迫る。
木下社長が5年前に金沢まいもん寿司一号店を出店した当時、回転寿司がファミリーレストラン化していた中で、あえて本来の寿司屋のあるべき姿である和のコンセプトに徹した差別化戦略を打ち出した。
ハード面ではどこの店舗も大差がない。それだけにどこで差別化するか、それは他店舗にない接客である。「当たり前のことを当たり前に実践する」これを社員教育で徹底している。人づくり、とりわけ職人を育てることの大変さは身をもって経験したことから、寿司職人を育てる国際寿司大学を創設し、寿司職人を世界に送り出すことが木下社長の永年の夢であった。その夢が国内はもとよりサンフランシスコやシアトルの知人の協力もあって実現に向けて今、前進している。
これは自社のためではなく、業界全体のレベルアップに貢献したいとの熱い思いがそうさせていると言っても過言ではない。「マーケットを世界で見ればいいのだから一人勝ちしようなどと小さなことは考える必要はない。同業者が一丸となって金沢、石川の回転寿司のレベルアップに邁進することで、結果としてみんなが潤うことになる」。職人の確保がこの商売で最も苦労する部分であり、国際寿司大学が創設されれば、人材育成に大部分の時間を費やした従来までの飲食業界が大きく様変わりする可能性さえ秘めている。
東京は玉川高島屋、名古屋は名古屋三越に寿司店を出店している。
金沢の伝統工芸である金箔をふんだんに用い、赤・黒・金色をベースにした豪華な店づくりが評判を呼び、連日大盛況である。鮮度のいい寿司を提供すると同時に金沢の伝統文化も発信したいとの木下社長の想いが詰まった店舗でもある。
「名古屋三越にはテナントが314店舗入っているが、昨年半年かけてホスピタリティーの覆面調査が入り、錚々たる名店が数ある中で新参者のうちの店がナンバーワンに選ばれたのが本当に嬉しかった」と顔を綻ばす。
「自分の家族に食べさせたくないものは一切出すな」これが木下社長の食材に対するポリシーである。儲かるために何でもする、わからなければ偽物でごまかすといった発想はご法度である。世界中の食をテーマに、歴史的な資料や現在の食文化を全般的に展示し、世界の食のライブラリー資料館を金沢に創設する。
未来に向けての食の研究および開発に寄与していきたいというのが、国際寿司大学と並ぶもう一つの木下社長の大きな夢である。例えば中国4千年の資料を集めるだけでも膨大なエネルギーと時間を要する作業になる。それを世界という括りにするともっと奥深い。そうした集大成は世界中どこにもない。それを金沢の地で実現したいと考えている。「広坂の旧県庁舎にレストランをという話が出ているが、私は12か月のレンタルレストランをやって世界の料理で競い合えばいいと思っている。食というキーワードで世界中から人を集め、さまざまなテーマでのシンポジウムも開催できる。
そうした意味で金沢において食をとことん極めた世界一のものをやるべきだ」と熱く語る。食が集まれば、九谷焼、輪島塗、金箔、山中漆器といった石川の伝統工芸のコラボレーションも可能になり、地域全体が活性化することにつながっていく。これを市民運動にして気運を盛り上げていくべく邁進している。
5年から10年の間に、国際寿司大学で学んだ職人たちがそれぞれに店舗を持ち、全世界100か所に寿司の店舗を展開することが大きな目標である。「世界を変えられる一握りである0.1%のトップの意識が変われば世界は変わる。事業を通じて富裕層の人的ネットワークを構築していくことで、人類が共生できる新しい社会を作ってみたい」。
日々わくわくしながら子々孫々が繁栄するための社会を残していくことが自らの仕事と肝に銘じ、社員と共に夢に向かって邁進する情熱集団を形成している。
「白山に登るのか、富士山に登るのか、それともエベレストに登るのか、どうせ登るのならエベレストに登ろうと言っている。エベレストに登ることは至難の業であるが、それだけの能力とノウハウを身につけることは凡人では出来ない。我々は今は麓にいるかもしれないが、常に一流を目指して、これでいいという世界はやめておこうと社員に言い聞かせている。
休み時間も惜しんで頑張ってくれている社員たちのおかげで今日までやってくることができた。これを乗り超えた時に彼らにしっかりと還元したいと思っている」と目を潤ませて「感謝しかない」と誇れる集団を自画自賛する木下社長の事業に賭ける意気込みは留まるところを知らない。
![]() |
商 号 | (株)エムアンドケイ |
| 本 社 | 金沢市八日市3−604 | |
| 設 立 | 平成11年4月 | |
| 資本金 | 4,000万円 | |
| 年 商 | 20億円 | |
| 従業員数 | 300名(うちパート250名) | |
| 店舗数 | 9店舗 | |